信仰の証
主の恵みを交わし。

長いトンネルを抜けて(T.K)

投稿者
tbic
投稿日
2021-03-16 15:47
閲覧数
605
〈私の信仰経歴〉

一九六四年三月イースターの日に私は東京新宿にある教会で受洗の恵みをいただきました。始めて福音に触れたのは中学時代、友人と行った鷺宮にあるルーテル教会の礼拝でした。たった一度の礼拝体験でしたが「わたしは仕えられるためではなく、仕えるために来た」と言う主のお言葉が妙に私の記憶に残りました。そして、このお言葉によって私は感覚的ではありますが、キリスト教に対して他の宗教とは異なる特別なイメージを持つようになりました。

高校二年の時、信仰に導かれる決定的な機会が訪れました。それは、熱心な救世軍の信者であられた校長先生が矢内原忠雄先生を年頭講演にお招きしたのです。校長先生は矢内原先生のお話をとおして、生徒に人格的感化を期待されたのだと思います。公立高校でしたので宗教に関わる直接的なお話はありませんでしたが、今まで聞いたことのない確固とした信念と高邁な精神世界を垣間見させていただきました。その後、矢内原先生が立派な学者、教育家であると共に、筋金入りの無教会キリスト者であることを知りました。これがきっかけで、キリスト教についてもっと知りたいと思うようになり、近くの書店で詩篇付の小さな新約聖書を購入し読み始めました。しかし、実際に読んでみると自分の抱いていたキリスト教のイメージとかなり内容がかけ離れていて、なかなか理解出来ず、聖書はそのまま棚で埃をかぶることになりました。

大学入試に失敗し、受験勉強真っ盛りの一八歳の時、新聞広告で矢内原忠雄全集が出版される事を知り、早速、購入し読み始めました。読み進む内にのほほんと育った私のふやけた頭は、鋭い刺激で貫かれ、すっかりキリスト教信仰に感動し、あこがれで一杯になりました。そして独りよがりでありますが、神さまはいらっしゃるとの確信が急速に芽生えてゆきました。そして以前はキリスト教に好意を持ちつつも、理解することも出来なかった主イエスさまのお言葉が自然に受け容れられるように私は変えられて行きました。

ある日、郵便受けに近くの教会が配布したトラクトが入っておりました。そこには、幼い子供を亡くした婦人が、自分の子供はいったい何処に行ってしまったのかと悲嘆にくれていた時、矢内原先生の「幼くして死んだ子供は、主イエスさまに抱かれて天国にある。親は天での再会を待って一層信仰に励むべき」という一文に出会い、天国を確信したと言う証しが載っておりました。早速、私はその教会を訪ねました。

すでに、福音の輪郭が頭に入っていましたので半年ぐらいの求道を経て、受洗へと導かれましたが、突然先生から「高石さんも徹底的に悔い改めをしなさい」と言われ、本になかった信仰の現実に直面することになりました。導かれた教会の牧師先生の生活振りは「清く、貧しく」そのものでした。また、病気にかかっても薬を飲まず、信じて癒しを待つと言う信仰姿勢を聞いてから、私はその真剣さ・厳しさに空恐ろしさを感じました。私の日常生活とはまったく別の世界を感じたのです。

〈学生時代〉

大学入学と同時にKGKに入会しました。そこでは様々な教派や信仰経歴をもった友人と知り合うことが出来、教会だけでは体験出来ない広い分野を学ぶことが出来たと思います。

一方、学生時代は楽しさより精神的苦痛の多い時でした。ある夜、ふとした瞬間から信仰を実感できなくなり、恐怖感覚に襲われることがありました。それがきっかけで様々な神経症的症状が現れ、何年もの間、真っ暗闇のトンネル生活を送りました。精神科に気軽に出入り出来る時代でもありませんでしたし、この状況に何らかの信仰的意味づけをしたかったのだと思いますが、何人かの牧師に相談しました。しかし、返って来た答えは「若い人特有の神経衰弱、今に直る」とか、「これは悪霊の仕業」と言うもので自分ではなかなかそれらの答えに納得出来ず、一人もがいておりました。

ある時、渋谷のキリスト教書店でバンヤンの「恩寵溢れる」という書物を見つけ読んでみたところ、この偉大な信仰者にも似たような体験があったことを知りました。そしてバンヤンと同様に「わたしに来る者をわたしは決して捨てはしない」と言う主の御言葉にかじりつく以外、道はないことに気づかされました。また、ハンナ・スミスの「信仰生活の秘訣」も大きな助けとなりました。一種の強迫神経症だったのだと思いますが、この経験を通じ、主は、私が母の胎にいる時から私を選び、主が環境を整え、求める心を私に与え、私を信仰へ導いて下さったと言うことが分かりました。学生時代の楽しい時に道を踏み外さないよう、主の特別なご配慮があったのではないかと思います。

〈長女かをりのこと〉

一九七七年三月、結婚後一年半で長女かをりが生まれました。娘の成長振りはあまり思わしいものではなく、時期が来ても一人で座れず、ものを見せても手を出しません。一歳になった時、精密検査のため大学病院に二ヶ月入院、知恵遅れとの宣告をうけました。御言葉の励ましを受けて私たち夫婦はあまり深刻にもならず、娘を育てることができました。どの教会でも皆さん娘を可愛がって下さり、とても感謝でした。

かをりは四歳直前にやっと歩けるようになりました。当時、私たちは横浜に住んでおりましたが、家内は長女とまだ二歳に満たないやっと歩けるようになった次女を連れ、障害児のための幼稚園に毎日、片道一時間かけて通いました。

小学校は家のすぐ近くの養護学級に入ることが出来、六年間は送迎の苦労から解放されました。中学からは横浜山手にあるキリスト教主義の聖坂養護学校を受験。難関?を見事突破し入学させていただきました。しかし、小学校高学年から徐々に苛立ちが目立つようになり、思春期に入ると娘は精神的に不安定になり、時に辺り構わず大声を上げるようになりました。あまりのひどさに通行人に何度か怒鳴られたこともあったそうで、家内はバスにも電車にも乗れず、毎日一時間以上かけて家に帰ることが度々で何年も続きました。

卒業後、作業所に通うようになりましたが、帰途、直接家に帰りたがらず、デパート巡りが常習化してしまいました。無理に連れて帰ると大暴れをしますので日が暮れるまで三時間でも四時間でも横浜の町を徘徊しておりました。これが何ヶ月も続き家内もほとほと疲れ果ててしまいました。日の短くなる冬が来るとホットしたものです。しかし、春になると日が長くなり緊張が増してゆきました。家内は娘の送り迎えに時間がとられ、家で落ち着いて家事が出来る時間はほとんどありませんでした。帰宅後も時に大暴れをしますので、大きな団地中に声が響き大変な状況でした。

ちょうどこの時期に一人住まいであった私の母が体調を崩し、急遽、実家のある東京新宿に転居せざるを得ない状況になりました。幸いにも引っ越し先の新宿区では、すぐ娘を受け入れる通所施設を紹介してくださり、更に加えて毎日、家の近くまで娘をバスで送迎していただけるとのことでした。長い間、娘の送り迎えで苦労をしてきた家内にとってこれは大きな喜びでした。しかし、ここでも三ヶ月ほど、毎日新宿のデパート巡りが続きました。送迎バスの停車する場所から家まで百数十メートルしか離れていないのですが、人通りの多い商店街を通るため大暴れされるのを恐れてのやむを得ない処置でした。

この間、教会の牧師には毎週、頭に手を置いて祈っていただきました。そしてある時を境にピタリと徘徊が止みました。主は祈りに答えを下さったのです。パニック状態の娘を扱うのは並大抵ではありませんが、機嫌の良い時はすこぶる愛嬌のある娘で私たち家族にとっては癒しの源でもあり、親にとっては可愛い主からの祝福だと感謝しております。
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