薬物中毒患者、御言葉で劇的な癒しを体験(H.K)

交通事故から薬物依存へ

「薬を使ったのは最初の２週間だけ。朝、目覚めると薬が欲しくなくなっていた」。９５年、一時停止を無視した車にはねられ、重傷を負った。結婚１か月後のことだった。中心性脊髄損傷の診断を受け、頭の毛をすべて剃り、左右に２か所、合計４か所ボルトで固定する大手術をした。体の３分の２以上はまひ。医師からは「一生治らない」と言われた。

症状固定のまま退院。２年半の後「奇跡的に体が動くようになってきた」が、傷口が痛む、めまいがする、体温調節ができない、呼吸困難などの症状が続く。自律神経失調症、心身症の診断も受けた。それらの症状を抑えるため、多量の精神安定剤や睡眠薬を飲むようになる。そんな生活が６、７年続いた。

まさに「悪魔が乗り移った状態」だった。薬の副作用で、怒りが込み上げてくると爆発し、家のドア、タンスなどを壊していた。妻と子ども２人は恐ろしくて別の部屋に避難し、こもっていた。

精神障害者を癒す牧場を造りたい

それでも徐々に薬の量が減り、心身共に元気になり、精神も安定してきた。すると今度は「豪州で動物に囲まれながら精神障害者を癒せるような牧場を造りたい」という願いが起こってきた。妻は「やってみたら。うまくいったら呼んで」と快く送り出してくれた。

０４年１月に渡豪。最初のホームステイ先の老夫婦がクリスチャンで、パース日本語キリスト教会（スティーブ・ヤング牧師）に連れていってくれた。そこでヤング先生はじめ教会の人たちに温かく迎え入れられた。

しかし、牧場体験をする予定だった牧場の主が自殺未遂するというハプニングがあり、当初の願いは断たれた。そんななかヤング牧師から「ティーン・チャレンジという施設があるけれど行ってみないか」と勧められ、２月にスタッフとしてその施設で働くようになった。

元・依存者たちが涙を流し悔い改める

そこはクリスチャンが運営する更正施設。更正率８５％で、豪州政府も強い信頼を置く。朝７時から一日中、イエスさまについてのビデオを見、ビデオやカセットで牧師の説教を聞き、賛美するなど、様々な聖書の教えのプログラムが組み込まれていた。そこで生活する若者たちはほとんど薬を使用せず、みな明るかった。

そこで見たものは、かつて麻薬やアルコールにはまっていた若者たちが涙を流しながら悔い改め、神の赦しを乞う祈りをする姿だった。どの生徒も私の２人の息子と同世代だったので他人事とは思えなかった。その時はまだ信仰をもっていなかったが、神様に「彼らが一人残らず癒され、新しい人生の指針を見いだし、ここで更正して卒業してほしい」と祈った。すると自分の方が、事故の後遺症、精神症状、血圧などすべての薬の問題が解決していた。

０４年４月に施設近くの海岸で洗礼を受けた。その後は恐れや不安が一切なくなっていた。５月に帰国。百八十度変わった私を見た妻は「これは本物だ」と実感し、イエス・キリストを信じた。