信仰の証
主の恵みを交わし。

バラバとサマリヤの女(S.M)

投稿者
tbic
投稿日
2020-11-09 09:47
閲覧数
3493
ヤクザの男

一四年前のことです。出稼ぎのため韓国から日本にやって来た私は、ナイトクラブに勤めていました。ある日、そのクラブに刑務所を出たばかりのヤクザの男の人が客としてやって来ました。その人は私を気に入ったらしく、足しげくクラブに通ってくるようになり、熱心に私を口説き始めました。私たちは親しくなり、同棲するようになりました。しかし、莫大な借金を抱えていた彼との生活はあまり長続きはしませんでした。

彼と一緒に暮らし始めたことで、経済的にも精神的にも苦境の中にあった私は、ある友人に誘われて教会に通い出しました。そしてイエスさまを信じ、この男性とはきっぱりと別れ、新しい人生を歩み出したのでした。

ところが、それから間もなく、この男性は無理やり、私の住んでいるところに転がり込んできたのです。やっと別れることができたと思っていたのに、居座って動かないのです。途方に暮れているとき、通っていた教会の牧師が訪問してきました。私は彼がいることを隠そうとしたのですが、もちろん簡単にばれてしまいました。私は牧師に向かって、「私はもうクリスチャンなんだから、この人とは別れたいんです。別れます」と言ったのですが、なんと牧師の口からは「そんなことを言わずに、結婚すればいいじゃないですか」という言葉が発せられたのです。年下で、その上、借金を抱えているのにと訴えると、借金は神さまが返して下さるとその牧師はおっしゃったのです。でも私は嫌で仕方ありませんでした。せっかく教会に行くようになって、こんな人とも別れて真面目な生活を送ろうと思っていたのに、なぜ牧師はそんなことを言われたのかがわからず、つらくて、毎日ひどい顔をしていました。

当時、私は自分では神さまの声がわからないと感じていました。しかし、神さまは牧師を通しても語られる、だから牧師の言うことには従順に従わなければならないと思っていました。それで、結婚に踏み切ったのです。日取りも牧師が薦めてこられ、結婚の準備は教会でしてくれました。ところが私の心の中は不安で、葛藤が絶えず、結婚式の当日も顔が引きつったままでした。

主人の失踪と祈り

結婚して数カ月の間は、主人も地味な服装を着てみたりして、真面目な生活を試みていました。しかし、就職もままならず、またヤクザに戻ってしまいました。家を何日も空けることが度々ありました。子供も授かりましたが、苦しい日々は続きました。

そんなある日、主人が失踪しました。主人のいた組の親分も訪ねてきましたが、私を責めたりはせず、「もっといい奴を紹介してやる」と言い残していきました。赤ん坊を抱えて、途方に暮れる毎日でした。

私はそれまでも、もちろん祈っていました。しかし、主人の失踪をきっかけに必死になりました。すると、状況は変わらないのに、平安が与えられ、感謝が溢れ、「神さま、あなたがあの人を変えて下さいますから、ありがとうございます」などと祈っている自分を見出すのです。もちろんそのような気持ちがずっと続くわけではありません。祈るとそのような思いに変えられるのです。その頃の日々は、一日がとても長く感じられました。一秒一秒数えながら生活しているようなのです。その分、余計に聖書も心渇いて読みました。「人は神が結び合わせたものを引き離してはなりません」という御言葉と、「恐れるな。わたしはあなたとともにいる」という御言葉を一生懸命読みました。心を尽くして祈って、平安が与えられ、また不安になって、聖書の言葉を読んで感謝をする、叫びたくなるような思いと、神さまにいただく平安とが、何度も心の中を交錯する毎日でした。

そんなおり、夫から離婚届が送られてきました。これは神さまが別れても良いと言って下さっているんではないか、という思いもよぎりました。主人を待とうという気持ちが大きく揺らいだときでもありました。しかし、私は春まで主人を待つと祈ったのです。もしも春までに帰ってこなければ、娘を連れて韓国に帰り、主に仕えよう。もう限界だ、男なんかこりごりだと私は思っていました。

その祈りの後、なんと主人が一〇カ月の失踪生活からボロボロになって帰ってきたのです。私はとりもなおさず、彼を無条件で受け入れました。でも、思いの中では、こんなに悪事を重ねる人間が、なぜひどい目に遭わないのだろう、神よ、目を覚ましてこの人を懲らしめてくださいなどと言っていたのです。すると、主人に対して可哀相だという思いが湧いてきたのです。このままでは、この人は地獄に行ってしまうのかと思うと、可哀相で仕方がなく、涙が出てきました。「自分は正しく、あいつは悪い」という裁きの思いを悔い改めさせられたのです。本当に赦してくださいと祈りました。そしてこのときから、心がずっと楽になりました。主人のために、神さまが私の中に道備えをされたのです。

主人の悔い改め

それからすぐ、主人は私に、「一緒に上京し、やり直そう」と言ってきました。ところが上京した私を待っていたのは、主人と愛人の生活感の満ちた部屋でした。その女性と暮らしていたときの家財道具を一切合切置いたままで、私を呼び寄せたのです。私にはその無神経さが理解できませんでした。地獄にいるような思いの中で、心からこの人と別れて帰りたいと願いました。あまりの惨めさに、声に出しては何も言えないほどでした。

それでも私は主人と残りました。それは、神さまが祈りに応えて下さり、主人を戻して下さったこと、そして平安と確信を与えて下さったという事実が、敢然と私の前にあったからでした。

とはいえ、私たちは日曜日に教会に行きはするけれども、平日の間は毎日喧嘩をしていました。私は主人を信用することができず、心は深く傷ついたままだったのです。今度、女性問題を起こしたら韓国に必ず帰ってやると思いながら、喧嘩をして日々をやり過ごしていました。

翌四月に入って、この状況を打破するためにも、主人を神学校に入れてはどうかという話しがありました。主人にその話しをすると、喜んで行き始めました。私にも優しくしてくれるようになりましたが、信用することができませんでした。それまでさんざん噓をつかれているので、傷が疼いて仕方なかったのです。その直後、かつての主人の愛人から電話がかかってきました。主人は蒼白でした。その人は電話口で、自分がいかに苦しい状況にあるかなどと言って泣くのです。私は「普通はあなたなんか絶対赦せない、でも私はイエスさまを信じているので赦すことができます。だからあなたもイエスさまを信じて、本当にいい人を見つけて、幸せな家庭を築きなさい」と彼女に言いました。すると女性問題に関しては、この件を境に傷がなくなったのでした。

それでも他の領域では主人をまだ信じることができないでいました。そんなある日、夜中に主人がワァワァ言っているのが聞こえてきました。うるさいので起きてみるとオイオイと泣き崩れて悔い改めているのです。これが芝居なら神さまが怒られると思いました。そして、主人とともに十字架の勝利を宣言したのです。

教会開拓への導き

この頃、アーサー・ホーランド師と十字架を担いで日本を縦断するという働きへの誘いがありました。私は直感的に「これだ」と思いました。主人は体力に自信がなく、動悸も時々あったので、そんなことをしたら死ぬかもしれないと二の足を踏んでいました。でも私は死んでもいいではないか、イエスさまのためなら死になさいと言って送り出しました。神さまはこの人に使命を与えておられるから、まだ死ぬことはないと思っていました。そしてもし死んでも、イエスさまのためだからいいのだと思えたのです。

主人はこの働きに加えていただいて後、韓国系教会の長老会から招かれ、二年間伝道師として奉仕させていただくことになりました。そして船橋に教会を開拓する志を与えられ、そのビジョンに向かって歩み始めました。私は最初、時期が早すぎると感じました。しかし、祈りの中で主の開拓に対する導きを確信し、主人と足取りをともにしました。そして現在に至っています。

試練の時、たくさんの人のとりなしと実際的な助けがありました。そして何よりも揺れ動く心を支えてくれた信仰がありました。それは私の力でできたことではありませんでした。神さまを信じていなかった私はゴミのようなものだったのです。信じてからも律法的な私に「あなたはね、私が救ったんだよ」と教えて下さったのです。いつの間にか自分で自分を救おうとしていました。主人はヤクザで救っていただいた、バラバのような男です。そして私はサマリヤの女(ヨハネによる福音書四章参照)のような者です。まさに二人して、イエスさまに助けていただいた者たちなのです。(注・ご主人の鈴木啓之牧師は元ヤクザからなるミッション・バラバという伝道団体を作って、用いられている。バラバとはイエスと同じ日に十字架刑に処せられる予定だったが、これを免れた極悪人。)
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