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詩篇 119:105
サムエル記第二15:1-37、(アブサロムとダビデ)
投稿者
tbic
投稿日
2025-01-20 19:55
閲覧数
38
サムエル記第二15:1-37、
1.その後、アブサロムは自分のために戦車と馬、そして自分の前に走る者五十人を手に入れた。2.アブサロムはいつも、朝早く、門に通じる道のそばに立っていた。さばきのために王のところに来て訴えようとする者がいると、アブサロムは、その一人ひとりを呼んで言っていた。「あなたはどこの町の者か。」その人が「このしもべはイスラエルのこれこれの部族の者です」と答えると、
3.アブサロムは彼に、「聞きなさい。あなたの訴えは良いし、正しい。だが、王の側にはあなたのことを聞いてくれる者はいない」と言っていた。
4.さらにアブサロムは、「だれか私をこの国のさばき人に立ててくれないだろうか。訴えや申し立てのある人がみな、私のところに来て、私がその訴えを正しくさばくのだが」と言っていた。
5.人が彼に近づいてひれ伏そうとすると、彼は手を伸ばし、その人を抱いて口づけしていた。
6.アブサロムは、さばきのために王のところにやって来る、すべてのイスラエルの人にこのようにした。アブサロムはイスラエルの人々の心を盗んだ。
7.四年たって、アブサロムは王に言った。「私が主に立てた誓願を果たすために、どうか私をヘブロンに行かせてください。
8.このしもべは、アラムのゲシュルにいたときに、『もし主が私を本当にエルサレムに連れ帰ってくださるなら、私は主に仕えます』と言って誓願を立てたのです。」
9.王は言った。「安心して行って来なさい。」彼は立って、ヘブロンに行った。
10.アブサロムはイスラエルの全部族に、ひそかに人を遣わして言った。「角笛が鳴るのを聞いたら、『アブサロムがヘブロンで王になった』と言いなさい。」
11.アブサロムとともに、二百人の人々がエルサレムを出て行った。その人たちは、ただ単に招かれて行った者たちで、何も知らなかった。
12.アブサロムは、いけにえを献げている間に、人を遣わして、ダビデの助言者ギロ人アヒトフェルを、彼の町ギロから呼び寄せた。この謀反は強く、アブサロムにくみする民が多くなった。
13.ダビデのところに告げる者が来て、「イスラエルの人々の心はアブサロムになびいています」と言った。
14.ダビデは、自分とともにエルサレムにいる家来全員に言った。「さあ、逃げよう。そうでないと、アブサロムから逃れる者はいなくなるだろう。すぐ出発しよう。彼がすばやく追いついて、私たちに害を加え、剣の刃でこの都を討つといけないから。」
15.王の家来たちは王に言った。「ご覧ください。私たち、あなたのしもべどもは、王様の選ばれるままにいたします。」
16.王は出て行き、家族のすべての者も王に従った。しかし王は、王宮の留守番に十人の側女を残した。
17.王と、王に従うすべての民は、出て行って町外れの家にとどまった。
18.王のすべての家来は王の傍らを進み、すべてのクレタ人と、すべてのペレテ人、そしてガテから王について来た六百人のガテ人がみな、王の前を進んだ。
19.王はガテ人イタイに言った。「どうして、あなたもわれわれと一緒に行くのか。戻って、あの王のところにとどまりなさい。あなたは異国人で、自分の国からの亡命者なのだから。
20.あなたは昨日来たばかりなのに、今日、あなたをわれわれと一緒にさまよわせるのは忍びない。私はこれから、あてどもなく旅を続けるのだから。あなたの兄弟を連れて戻りなさい。恵みとまことがあなたとともにあるように。」
21.イタイは王に答えて言った。「主は生きておられます。そして、王様も生きておられます。王様がおられるところに、生きるためでも死ぬためでも、このしもべも必ずそこにいます。」
22.ダビデはイタイに言った。「では、進んで行きなさい。」ガテ人イタイは、彼の部下全員と、一緒にいた子どもたち全員を連れて、進んで行った。
23.この民がみな進んで行くとき、国中は大きな声をあげて泣いた。王はキデロンの谷を渡り、この民もみな、荒野の方へ渡って行った。
24.見よ、ツァドクも、すべてのレビ人と一緒に神の契約の箱を担いでいた。民がみな都から出て行ってしまうまで、彼らは神の箱を降ろし、エブヤタルがささげ物を献げた。
25.王はツァドクに言った。「神の箱を都に戻しなさい。もし私が主の恵みをいただくことができれば、主は、私を連れ戻し、神の箱とその住まいを見させてくださるだろう。
26.もし主が『あなたはわたしの心にかなわない』と言われるなら、どうか、主が良いと思われることをこの私にしてくださるように。」
27.王は祭司ツァドクに言った。「あなたは先見者ではないか。安心して都に帰りなさい。あなたがたの二人の息子、あなたの息子アヒマアツとエブヤタルの息子ヨナタンも、あなたがたと一緒に。
28.見なさい。私は、あなたがたから知らせのことばが来るまで、荒野の草原でゆっくり待とう。」
29.ツァドクとエブヤタルは神の箱をエルサレムに持ち帰り、そこにとどまった。
30.ダビデはオリーブ山の坂を登った。彼は泣きながら登り、その頭をおおい、裸足で登った。彼と一緒にいた民もみな、頭をおおい、泣きながら登った。
31.そのときダビデは、「アヒトフェルがアブサロムの謀反に荷担している」と知らされた。ダビデは言った。「主よ、どうかアヒトフェルの助言を愚かなものにしてください。」
32.ダビデが、神を礼拝する場所になっていた山の頂に来たとき、見よ、アルキ人フシャイが上着を引き裂き、頭に土をかぶってダビデに会いに来た。
33.ダビデは彼に言った。「もしあなたが私と一緒に行くなら、あなたは私の重荷になる。
34.しかしもし、あなたが都に戻って、アブサロムに『王よ、私はあなたのしもべになります。これまであなたの父上のしもべであったように、今、私はあなたのしもべになります』と言うなら、あなたは私のためにアヒトフェルの助言を打ち破ることになる。
35.あそこには祭司のツァドクとエブヤタルも、あなたと一緒にいるではないか。あなたは王の家から聞くことは何でも、祭司のツァドクとエブヤタルに告げるのだ。
36.見よ、あそこには、彼らの二人の息子、ツァドクの子アヒマアツとエブヤタルの子ヨナタンが彼らとともにいる。二人をよこして、あなたがたが聞いたことを残らず私に伝えてくれ。」
37.ダビデの友フシャイは都に帰った。そのころ、アブサロムもエルサレムに着いた。
はじめに
- 15章は野心をもっていたアブサロムによるクーデターと都落ちするダビデを描いています。この章も神は沈黙しておられます。「アブサロム」という名前は「父は平和」あるいは「平和の父」という意味ですが、父ダビデは息子のクーデターに対して一切戦う姿勢をとっていません。まさにすべては神の御手にゆだねて平安のうちにいます。「ダビデがその子アブサロムからのがれたときの賛歌」と題する表題を持つ詩篇3篇では、驚くべきことに、この出来事の最中にあっても「私は身を横たえて、眠る。私はまた目をさます。主がささえてくださるから。」(5節)と告白しています。今日はアブサロムの用意周到なクーデターの準備と危機に陥ったダビデの態度を見てみたいと思います。
- イスラエルの人々の心を盗んだアブサロム
- アブサロムのクーデター計画は4年間にわたる用意周到な準備が重ねられました。特に、6節に「アブサロムはイスラエルの人々の心を盗んだ」とありますが、これが準備の大要ではなかったかと思います。人の心を「盗む」と訳された原語は「ガーナヴ」(גָּנַב)で、その強意形であるピエール態が使われています。新共同訳は「盗み取った」、岩波訳は「(心を)掴んだ」と訳しています。
- 心を盗むという「懐柔作戦」によって、アブサロムは人々を自分のうちに取り込んでいきました。その具体的な方法は、5節にあるように、「人が彼に近づいてひれ伏そうとすると、彼は手を伸ばし、その人を抱いて口づけしていた。」というパフォーマンスです。
- 今日の政治的パフォーマンスと何ら変わりません。政権を取るための政治的パフォーマンスは、アブサロムの方がダビデよりもまさっていたようです。ダビデはそのようなパフォーマンスをせずも、神が彼を建て上げられて行かれるので、そのようなパフォーマンスは必要ありませんでした。しかしアブサロムにはそのような神の後ろ盾がないために、人々をなんとか取り込むためのパフォーマンスが必要だったと言えます。
- アブサロムは、父ダビデを欺いてヘブロンへ赴き、そこで王としての即位を宣言しました。しかもダビデの議官をしていた有能なアヒトフェルを味方につけました。状況としてはイスラエルの人の心はアブサロムになびいていました。13節に「なびいています」の直訳は「~のあとに(従う)」という副詞「アハル」(אַחַר)が使われています。つまりイスラエルの多くの人々の心は「アブサロムに従うようになっていた」という意味です。そのような状況の中でダビデがどのように対処したのかは注目に値します。
- 戦うことなく、都落ちしたダビデ
- 息子のクーデターに対して、父ダビデは戦うことなく、王の座を明け渡すために都落ちしました。武力による衝突を避け、逃げることを選んだのです。危機に陥ったダビデの判断から学ぶところは大いにありますが、その中でも際立っているのはダビデの危機における沈着冷静な態度です。それは以下に見る事柄です。
(2) 祭司たち(ツァドク、エブヤタル)を神の箱とともにエルサレムに帰しています。彼らの存在はダビデの王としての正当性を主張するためには格好の存在であったにもかかわらず、ダビデは彼らを自分のために利用しようとはしませんでした。ただ彼らの息子たち(アヒマアツとヨナタン)がダビデに詳細にエルサレムの様子を報告するようにしました。これは内部情報を得るために彼らを起用したということです。(義-便法を取らない)
(3) 有能な参謀の一人、アヒトフェルがクーデターに加担したことを聞いて、主に「彼の助言を愚かなものにしてください。」(31節)と祈っています。(祈り)
(4) 部下の一人、フシャイをアブサロムの部下となるように進言します。彼のパフォーマンスは見事なもので、完全にアブサロムは騙されたのです。ダビデの進言の意図は、アヒトフェルの助言を打ち壊すためでしたが、見事命中した形となりました。ダビデは武力による戦いではなく、頭脳戦の構えを取ったのです。(知恵)
(5) かつてダビデに対して神が告げられた契約がありました。それは、主がダビデのために一つの家を造るという約束です。しかもその約束は、「あなたの身から出る世継ぎの子を、あなたのあとに起こし、彼の王国を確立させる。」というものでした。「あなたの身から出る世継ぎの子」とはいったいだれのことか、ダビデにはまだ知らされていませんでしたが、その約束が確かであるゆえに、ダビデは後継者問題については神にゆだねるしかありませんでした。それがある意味では心の余裕を持たせ、冷静沈着に対応する要因となったと思います。(望みの御言葉の約束を信じる)
詩篇121:1-2、「私は山に向かって目を上げる。私の助けは どこから来るのか。私の助けは主から来る。天地を造られたお方から。」
ユダヤ人収容所で生き残ったビクター·フランクル(Viktor E. Frankl)の話です。
彼はユダヤ人の精神科医で、第2次世界大戦中にナチスの強制収容所(アウシュビッツなど)で恐ろしい暴力、飢え、病気、そして人間性を破壊する環境を直接経験しました。
ある日の夕方、死ぬほど疲れた体で夕食を食べていると、誰かが「点呼場に行って日の沈む風景を見よ」と言っていました。
濃い雲の間から、青から赤へと美しく変わる色や形から、息づく空を眺めました。
感動で沈黙が流れた後、誰かが言いました。「世の中がこんなに美しいのか!」
ビクターフランクルは毎日死と立ち向かって戦いながら、激しい苦痛の中でも生き残った人々の共通点は、彼らが人生の意味を見出すことに成功したためだという事実に気づきました。
彼は彼の本「死の収容所で(Man's Search for Meaning)」の中で、今日死ぬか明日死ぬか一瞬の先も分からない収容所でも世の中の美しさを発見できるように、希望と未来に対するビジョン、神様に対する信頼が人間生存に必須であることを強調しました。
彼は戦争以後、この「ロゴセラピー」を発展させ、苦痛が人生を完全に破壊できず、人間はどんな状況でも神の中で人生の意味を発見できる自由と責任を持った存在だということを全世界に講演と本を通して伝えました。
皆さんもぜひ、ビクターフランクルとダビデのように、この信仰と余裕を持って毎日勝利することを切に願います。
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